ステミラック論文抄録
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0303846721000925?via%3Dihub
Intravenous infusion of auto serum-expanded autologous mesenchymal stem cells in spinal cord injury patients: 13 case series
抄録
Background(背景)
脊髄損傷(SCI)は身体障害の主な原因であるが、現在の治療選択肢は依然として限られている。間葉系幹細胞(MSC)を用いた細胞治療の最近の進歩により、SCIの動物モデルにおける機能が改善されている。SCI患者に対するMSCの静注の安全性と実行可能性を調査し、MSC注入後の機能状態を評価した。
方法
自己血清で培養した自家MSCを静脈内に注入する第2相試験では、GMP(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に基づくMSCの単回注入がSCI患者13例に実施された。実行可能性と安全性の評価に加えて、神経機能はAmerican Spinal Injury Association Impairment Scale(ASIA)、脊髄の神経機能分類に関する国際基準(ISCSCI-92)を用いて評価された。日常生活能力はSpinal Cord Independence Measure(SCIM-III)を用いて評価した。本試験の実施計画書は独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「機構」という。)の助言に基づいて作成された。この試験は日本医師会に登録された(JMA-IIA00154)。
結果
MSC注射に関連した重篤な有害事象はなかった。MSC注入から6カ月後の時点で、13例中12例にASIAグレードに基づく神経学的改善が認められた。MSC注入前にASIA Aに分類された患者6名中5名はASIA B(3/6)またはASIA C(2/6)に改善し、ASIA B患者2名はASIA C(1/2)またはASIA D(1/2)に改善し、ASIA C患者5名はASIA D(5/5)の身体機能状態に改善した。注目すべきことに、MSCを注入した1日後には5例全例でASIA CからASIA Dへの改善が認められた。ISCSCI-92とSCIM-IIIの両方の評価でも、全患者においてMSC注入前のスコアと比較して、MSC注入後6カ月時点での機能的改善が実証された。
結論
本試験は非盲検試験であったことを強調しており、プラセボ効果や内因性回復の寄与または観察者バイアスを除外するものではないが、本試験の観察結果から、SCI患者へのMSC注入の実現可能性、安全性および機能的改善を支持するエビデンスが得られた。